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横浜のタワーマンションと防災①高層階の火災は毎年500件以上

タワーマンションをはじめとした高層マンションにおけるもっとも危険な要素は火災リスクといってもよいでしょう。

耐震構造・免震構造など地震対策に注目が集まっている傾向もありますが、現在の高層マンションは耐震構造についてはかなり優れていますから、実際に深刻な被害をもたらす大規模な地震に見舞われるリスクは極めて限られています。

しかし火災は人間がもたらすものであり、しかもいつ、どのような形で起こるかわからない面があります。

しかも地震による倒壊や破損に比べて火災は「すべてを失ってしまう」怖い面もあります。

こちらを最後までお読みになれば、万が一タワーマンション内で火災が発生しても慌てずに行動できる知恵が手に入る事でしょう。

①イギリスのタワーマンション火災 事例

タワにゃん
タワにゃん
ショッキングな映像だったね

タワーマンションの火災と言えば、2017年にイギリスで発生したグレンフェル・タワーという高層マンションでの火災でしょう。

24階建ての高層マンションで火災により約70人もの死者を出した事件です。

当時実際に建物が焼けている映像なども世界中に流れ、大きな衝撃をもたらしました。

⒈グレンフェル・タワー火災の原因や被害は?

原因に関しては5階部分の住宅、火災発生に関してはアメリカの某大手家電メーカーの冷蔵庫による電気火災と言われています。

また、発生した火が想定していた以上に速く広がっていったことから、甚大な被害をもたらしてしまったと考えられています。

なお、後に警察がこのマンションと同様の外装材と断熱材で実験を行ったところ、耐火性能が基準を満たしていなかったうえ、断熱材が速く燃え広がっていったという結果が出ています。

死者が70人、その中には赤ちゃんもひとり含まれており、消防車が40台、消防士が約200人出動して懸命な消火活動が行われたにも関わらず鎮火するまで2日以上にかかりました。

そんな甚大な被害は、こうしたマンションそのものの不適切な状況が深く関わっているとみなされています。

⒉グレンフェル・タワーの被害が大きかった理由とは?

①グレンフェル・タワーを巡る環境に問題があった

どうしてこんなに甚大な被害が生じてしまったのか、先述した建物の構造上の問題はもちろん、そもそもこの高層マンションを巡る環境に大きな問題があったと考えられています。

この周辺は比較的低所得層が生活している地域であり、住宅街にこのマンションだけ突出するように建っている環境にあります。

もともとこのグレンフェル・タワーはそうした低所得層が居住することを前提に1974年に建築され、その後何度か防災対策も含めた改築も行われてきました。

②適切な防火対策が行われていなかった

大規模な火災という最悪の形で露呈したことの原因は、外壁や断熱材が燃えやすい問題だけでなく、本来なら設置が義務付けられているスプリンクラーの整備などの設備も十分に整っていなかったと言われています。

しかも住民の中には不法入国・滞在の人も多く含まれていたと言われており、火災発生当時にこのマンションにどれだけの人が住んでいたのか正確に把握できないばかりか死者・行方不明者の身元が確認できない問題も生じました。

そのため最終的な死者の数はもっと多く、80人を超えるのではないかとも言われています。

この大規模な高層マンションに起こった痛ましい火災にはこうした社会的な問題も原因として潜んでいたわけです。

しかし、近年のタワーマンションは、1974年に竣工したグレンフェル・タワーとは異なり、過去の災害から学び様々な法改正を経た建築基準法と消防法の二段構え。

火が出ても燃え広がらない耐火構造となっているので、グレンフェル・タワー火災の様に一気に炎が燃え広がることは無いとの説明が適切と言えるでしょう。

それではこの辺りで、近年の日本の高層マンションの火災状況などを見ていきましょう。

②日本の高層マンション火災の発生状況

11階以上の高層マンションでは、毎年500件ほどの火災が起きています。

 

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この火災のリスクは高層マンションにおける近年の火災発生状況が平均500件程度という数字を見ることでも明らかでしょう。

一生に一度起こるかどうかの大地震に対して、高層マンションの火災は実際に起こっているのです。

なお、15階以上のマンションの火災発生数については、以下となります。

 

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そうなると

「高層マンションは火災に対して大丈夫なのか?」

という不安が出てくるわけですが、上図の取り、火災による死者に関しては年間10~15人程度、そして火災によって焼けてしまった床面積は1件つき平均3~4平方メートルとマンションの規模と比較して少なくなっていますね。

この理由は、建築基準法施行令第112条によって、火災の拡大による被害を最小限に抑えるための防火区画を定めているためと言い切れるでしょう。

下図を参照くださいませ。

 

●令112条に規定される防火区画(高層区画)

高層区画防火区画対象建築物(部分)開口部
第6項
高層区画
〔100㎡〕
地上11階以上の部分の区画耐火構造耐火構造耐火構造 防火設備:1号扉
〔常閉又は随閉(熱感・煙感)〕
第7項
高層区画緩和
〔200㎡〕
上記部分の内装(天井・壁、下地を含む)を
準不燃材料
【注意】壁仕上げは腰壁緩和あり(床面から1.2m以下は制限なし)
耐火構造耐火構造特定防火設備:1号扉
〔常閉又は随閉(熱感・煙感)〕
第8項
高層区画緩和
〔500㎡〕
上記部分の内装(天井・壁、下地を含む)を
不燃材料
【注意】壁仕上げは腰壁緩和あり(床面から1.2m以下は制限なし)
耐火構造耐火構造特定防火設備:1号扉
〔常閉又は随閉(熱感・煙感)〕
第9項
高層区画適用除外
①階段室・昇降路
②廊下等の避難の用途に供する部分
③共同住宅の200㎡以内の住戸
耐火構造耐火構造・第6項区画の場合は
防火設備:2号扉
・第7項区画の場合は
特定防火設備:2号扉
・第8項区画の場合は
特定防火設備:2号扉
〔常閉又は随閉(煙感のみ)〕

※「建築基準法 第百十二条(防火区画)」を基に、ハマタワ事務局が作成

 

高さが11階を超える高層建築物の場合、災害時にはハシゴ車が届きませんからね。

従って、上の図の通り、11階以上の高層階は、耐火構造による防火区画を設ける必要があります。

その意味では火災発生のリスクは常にある一方、それほど深刻な被害は心配する必要はないとも言えます。

③タワーマンション火災対策6選とは?

近年のタワーマンションは火災が発生してもそう簡単には燃え広がりません。

しかし、万一の火災に備え慌てずに消火できる、あるいは避難できる対策は学んでおいたほうが良いでしょう。

⒈避難ルートの確認

避難のポイントと重複する部分もありますが、まず避難ルートをしっかりと確認しておくこと。

単に非常階段や避難はしご・ハッチの位置を確認するだけでなく、そこに安全にたどり着くまでのルートもしっかり確認しておくことが大事です。

⒉火災報知器や消火器

それから火災報知器や共用消火器がいつでも使えるようにしておくこと。

付け加えるならば、家庭用の小型消火器を設置すると良いでしょう。

しかし、どうしても「とりあえず設置したけどそのまま」というケースが多く、いざというときに役に立たない、どこに置いたのかわからなくなってしまうことが多いものです。

親は場所を把握していても子供は知らない、というケースもあるので家族全員で確認しておくようにしましょう。

火災の初期消火で消火器は大切な役割を果たしてくれます。

⒊防火性能カーテン・絨毯

もうひとつ、基本的に31メートルを超える高層住宅には防火性能を備えたカーテンや住宅の使用が義務付けられています。

高層階に住んでいる場合にはインテリアとしての面だけでなく、火災対策の観点からも意識しカーテン・絨毯を選んでみましょう。

とくにカーテンは火の延焼をもたらす面が強いため、防火性能が大きくものをいいます。

 

● 防炎対象物品

消防法施行令
第4条の3
カーテン
布製のブラインド
暗幕
じゅうたん等総務省令で定めるもの。
消防法施行規則 第4条の3じゅうたん(織りカーペット(だん通を除く。)
毛せん(フェルトカーペット)
タフデットカーペット、ニッテッドカーペット、フックドラッグ 接着カーペット、ニードルパンチカーペット
ござ
人工芝
合成樹脂製床シート
床敷物のうち毛皮製床敷物、毛製だん通及びこれらに類するもの以外のもの
展示用の合板(展示用パネル、掲示板、バックボード、仕切り用パネル)
どん帳(水引き、袖幕、暗転幕、定式幕、かすみ幕、中幕、映写幕、バック幕)
舞台において使用する幕
舞台において使用する大道具用の合板
工事用シート
仕切りに用いられる布製のアコーディオンドア、衝立て
室内装飾のために壁に沿って下げられている布製のもの
布製ののれん、装飾幕、紅白幕等で、下げ丈が概ね1メートル以上のもの
映写用スクリーン(劇場、映画館等で使用されるもの)
展示会場で用いられる合板で、台、バックスクリーン、仕切用等に使用されるもの
店舗部分で、商品の陳列棚としてではなく、天井から下げられた状態又パネル等として使用される合板
屋外の観覧席、通路等の部分に敷かれているじゅうたん等
人工芝
試着室に使用される目隠布
昇降機(エレベーター)の床・壁の内面保護等のための敷物等(2平方メートルを超えるもの)

参考:東京消防庁「防炎対象物品」
を基にハマタワ事務局が作成

⒋感電ブレーカーの設置

感電ブレーカーとは、設定値以上の地震を自動的に感知し、電気を自動的に遮断してくれるブレーカーです。

地震発生後の二次災害として懸念されている通電火災を防ぐことを目的とし、内閣府がまとめた閣議決定のなかでも感電ブレーカーの普及数値を設定しており、助成金の対象ともなっていますよね。

管理組合で一丸となり、感電ブレーカーの導入を検討することも良いアイデアと思います。

⒌安全装置付調理器具を使う

火災予防条例(昭和37年東京都条例第65号)に基づき、高層の建築物(共同住宅)における出火防止対策には運用の基準があります。

例えば、ガスコンロについての運用基準は「ガス用品の技術上の基準等に関する省令」に則り、調理油過熱防止装置、立ち消え安全装置を有することというもので、電気コンロ類は、努めて調理油過熱防止装置等の安全装置付きのものとすることというものです。

努めてとの表現が曖昧ですが、安全装置付調理器具は、異常な過熱や急に火が消えた際に、自動的にガスを止めてくれる優れた器具となります。

⒍配線等の点検

電気ショートによる電気火災が、以下表の通り6割以上となります。

電気ショートが起こると大電流が流れ発火します。

冷蔵庫や棚の裏など、定期的に点検し付着した埃や湿気などの水分を掃除しましょう。

 

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④タワーマンション火災での避難のポイント4選

タワーマンションや高層建築物での火災が恐ろしいのは「避難ルートを確保するのが難しい」点です。

高層建築になると避難用はしごなどで脱出するのが難しく、外に脱出できない間に煙に巻かれて窒息、焼死するリスクが高まるからです。

非常階段で下に降りる

エレベーターも一つの選択肢ですが、万が一止まってしまったり、火災による故障が生じたりすることを考えると非常用階段でおりる方がより安全です。

日頃から非常階段がどこにあるのかを確認しておくとよいでしょう。

またパニックを起こして住民が階段に殺到するような事態を避けるためにも、落ち着いた行動が求められます。

ドアや窓を閉める

窓やドアを開けたままにしていると、外から入ってきた新鮮な空気によって火の拡大が速まってしまうからです。

窓を閉めている余裕がある場合には閉めたうえで避難しましょう。

批難はしご・ハッチを使う

住んでいる階層によっては避難はしご・ハッチが使える場合もあります。

高層マンションのバルコニーには、いざという時のために隣の部屋に移動できる隔て板が設けられています。

それを通って避難はしご・ハッチがあるところに行くことになりますから、普段から避難はしご・ハッチの位置を確認しておくこと、そして隔て板の前にモノを置いて塞がないようにしましょう。

煙を吸い込まない

煙は一酸化炭素を含んでいます。

そして火災の熱と煙は、まずは上方に溜まり下方に降りてきます。

一酸化炭素中毒は、身動きが取れなくなり意識を失うと言われています。

従いまして服やタオルなどで口や鼻をしっかり防ぎ、浅めの呼吸を意識し絶対に息は止めない、そして必ず姿勢を低くして避難しましょう。

⑤タワーマンションと非常用エレベーター

建築基準法第34条第二項により、高さ31メートルを超える高層建築物には非常用エレベーターの設置が義務付けられています。


先ほど火災の避難時にはエレベーターではなく非常階段を使うのが原則と書きました。

ただ高層階に住んでいる場合にはなかなか階段だけで下まで降りるのが難しい面も出てきます。

高齢の方など体力的に難しい面もありますし、非常階段がすでに煙に包まれてしまっている場合にはかえって危険な面も出てきます。

こうしたケースも踏まえ、31メートル以上の高層住宅には非常用のエレベーターの設置が義務付けられています。

文字通り非常時に住民を外へと避難させるために使われるエレベーターです。

そのため性能はもちろんですが、設置位置や設置する数などに条件が設けられています。

例えば高さ31メートルを超える建造物でもっと床面積が大きい階の面積が1500平方メートル以下の場合は1台以上、それを超える場合には基準に応じて複数台を設置することが求められています。

それから非常用エレベーターは高層マンションの防災対策のために設置された中央管理室から容易に到達できる場所に位置していること、乗降する場所とそこから屋外にでる出入り口が消防車両が接近できる通路に面していることも義務付けられています。

そのため、先程触れた火災対策では自分が住んでいるマンションには何台の非常用エレベーターが設置され、どこにあるのか、そしてエレベーターで階下に降りた後にどこから屋外に避難するのかを確認しておくことも必要になるでしょう。

⑥タワーマンションと消防法

消防法では「防炎防火対象物」というカテゴリーが存在します。

簡単に言えば「燃えにくいもの」を防炎性能と位置づけたうえで火災対策に役立つものを対象としたものです。

高さ31メートルを超える高層建築物は、先ほど少し触れましたが、消防法の規定によりカーテンや絨毯などに防炎物品を使うことが義務付けられています。

これらも防炎防火対象物のひとつ、さらに一般住宅では布製のブラインドなども該当します。

そのほか会議室やホールなどがある施設では展示用の合板、垂れ幕、暗幕なども防炎防火対象物に位置づけられています。

つまり、高層建築物における火災対策の一環として、これらの対象物には防炎・防火性能を備えていることが求められるわけです。

さらにマンションの場合、改築や修復などを目的とした工事が行われることもありますが、その際には工事用のシートもこの対象物に分類されます。

⑦タワーマンションと非難安全検証法

避難安全検証法は平成12年に行われた建築基準法の改正にもとづいて設定されたものです。

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これは建築物の設計に関わるもので、その建築物の避難安全性能を柔軟に検証することで自由度を高めることができる内容になっています。

それまでは建築物の避難安全に関しては仕様規定が設けられており、それを厳密に満たしていないと建てることができませんでした。

しかしそれでは建築の自由度が制限を受けてしまうことから、新たにこの避難安全検証法が追加され、いくつかの条件を満たすことで一部の避難関連の規定の除外を受けたうえで設計・建築ができるようになります。

こうして書くと「本来なら必要な避難のための条件が適用されるなんて大丈夫?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

もちろん、避難安全性が損なわれることがないようさまざまな条件が定められています。

簡単に言えば避難安全性をクリアするための条件・ルートが増えることで設計の自由度を高めることができる仕組みなのです。

以前はAという規定を満たしていなければ建物を建てる事ができなかったものが、Bの基準、Cの基準を満たしていればAを満たしていなくてもOKといった形となったわけです。

⑧まとめ

タワにゃん
タワにゃん
日頃からの防火・防災対策が大切ということなんだね。

まとめてみると一年間に500件程度の高層マンションの火災が起きている以上、決して「他人事ではない」といえます。

一方で現在の日本のタワーマンションにはしっかりとした耐火性能が義務付けられているので、火災が発生してもそれほど大きな被害は出ないでしょう。

しかし被害を拡大しないためにも、住民は日頃から防火・防災対策を心がけておく必要があるといえます。

住宅火災の主な出火原因の表を以下にご紹介しますね。

 

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万一火災が発生したとしてもあっという間に火が燃え広がって逃げ道が断たれる、といったケースは少ないため、落ち着いて避難ができるかどうかか第一です。

そのうえで正しい形で避難ができるか、そして当初想定していた形で避難できなかった時に焦らずに「プランB」に移せるかが重要になってくるでしょう。

非常階段の位置と避難はしご・ハッチへのルートを確認したうえで非常用エレベーターの位置も確認しておきましょう。

もし自分の部屋で火災が発生した時に対応できるよう防火・防災設備を整えておくことも大切です。

これらは決して難しくないはずです。

火災のリスクに不安にかられて生活を送るのではなく、まずは火災を起こさず、起きてしまった時にきちんと対応できる意識と対策を心がけたいところです。

この度も最後までお読みいただきまして有難うございました。

 

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