横浜市南区の某所に、ほぼ同じ規模でほぼ同じ築年数のマンションが隣り合わせに建っている場所があります。
片方のマンションはメンテナンスも施されピカピカに映えているのに対し、もう片方のマンションは人で言ったらしわくちゃのマンション。
中廊下も外壁もボロボロ。
よくマンションは管理を買え!
と言いますよね?
タワーマンションも管理の状況や中身によって、その将来的な価値は大きく変わってくるものです。
100円で買ったものが50円でしか売れないよりか、1円で買ったものが100円で売れる方が嬉しいですよね?
少し大袈裟な例えでしたが、マンション管理は、それほどにお持ちのタワーマンションの将来価値に大きな影響を及ぼします。
こちらを最後までお読みになれば、日頃お住まいのタワーマンションの管理のことや、その資産価値を長期に亘って上げていくためのヒントを得ることが出来るでしょう。
INDEX
① マンション管理組合とは?
マンション管理組合は、区分所有法に基づいて構成されている組織で、区分所有者全員で構成するようにと定められています。
つまり、分譲マンションにおいては、物件を購入すると、売買契約を締結した時点で、所有者は組合員として自動的に加入する仕組みとなっています。
マンション管理組合の目的や役割とは?
建物の共有部分や敷地などのメンテナンスや管理維持をする事です。
例えば、エントランス部分やエレベーター、共有する廊下や駐車場など、個人が所有しているわけではないけれどマンションの物件の中に当たる部分が、これに該当します。
また、組合員を対象として集会を開催したり、規約を定めるという役割も担っています。
マンション管理組合の業務とは?
国土交通省が公表している管理組合が定める標準管理規約を元に、各組合ごとに作成する管理規約に明記されています。
例えば、居住スペースではない共有部分や敷地における保安や保全、そして清掃や消毒などが挙げられます。
ごみ処理に関しても、マンション管理組合の業務となります。
長期的な業務としては、長期修繕計画を作成したり、管理部分の修繕費の計画や管理なども行います。
宅地建物取引業者から交付されたマンションの設計図書を管理したり、共有部分に対してかけている火災保険や損害保険の管理をする事もまた、マンション管理組合の業務です。
具体的にどんな業務をするかは物件ごとに異なるものの、防災対策から安全対策、秩序や風紀の維持に至るまで、幅広い業務を行います。
② マンション管理会社とは?
マンション管理会社とはマンション管理組合から委託されて、管理業務の一部を行う事業主です。
マンション管理組合と管理会社の大きな違いは、管理組合は物件を所有している人全員が組合員なのに対し、管理会社は組合から委託されて請け負う法人という点です。
マンション管理会社の業務とは?
⒈事務管理
これは、組合員から管理費を徴収して管理したり、滞納者に対しては督促する作業は、管理会社の業務となります。
また、マンション管理においては日常的な修繕が必要だったり、清掃やごみ収集などのサービス利用に対する支払いなどもあります。
こうしたメンテナンスの管理を行い、収支報告を組合員に対して行うことは、管理会社の業務となります。
また、メンテナンス作業によって居住者に影響が出る場合には、居住者に対して通知することも、管理会社の役割りです。
⒉物件管理
こちらは、入口で来訪者の対応を行ったり、共有部分の点検やメンテナンス、建物の設備管理を行うことも、管理会社の業務です。
また共有部分における鍵や備品を管理したり、居住者からのリクエストやクレームに対応することも、業務に含まれます。
管理会社は定期的に開催されるマンション管理組合員の集会にも出席し、収支報告や修繕計画を行います。
来訪者に対する対応については、マンションごとに規約が異なります。
ラグジュアリーなタワーマンションに見られるように、居住者とのアポがなければエントランスを通過できないルールになっている所もあれば、来訪者が身分証明書を提示した上でエレベーターにアクセスできるカードを受け取る仕組みになっているマンションなどもあります。
こうしたルールや規約については、マンション管理会社が独自に決めているわけではなく、定期的に開催されるマンション管理組合の集会によって決められます。
そしてそのルールや規約に基づいた管理を、マンション管理会社が行います。
⒊清掃業務
ロビーやエントランス、共有部分の廊下や階段、エレベーターはもとより、建物の外にあって敷地内に設置されているゴミ置き場の清掃業務は、管理会社の管理下となります。
マンション管理会社のスタッフが直接行うケースはありますが、マンションの規模によっては管理会社から各種メンテナンスや清掃会社など専門業者へ委託されることが少なくありません。
また、建物の外観や審美に関する管理維持業務もあり、壁面やガラスの清掃作業も、専門業者へ委託して実施します。
⒋設備管理
これは、安全や保安を含めたメンテナンスや点検業務などが該当し、具体的には建物内のエレベーターや階段、防災設備や電気設備などが当たります。
もしもマンションに立体駐車場が設置されている場合には、立体駐車場の保守点検なども、管理会社の業務となります。
この業務においては、マンション管理会社が各種専門業者へ委託するケースが多いです。
その場合、どの業者に委託するかを決める作業は、マンション管理会社が見積もりを取り寄せたうえで、組合員が決めます。
設備管理や保守点検の頻度や内容については、マンション管理会社が計画を立てた上で、マンション管理組合の承認を経て業務を遂行することになります。
そのため、管理会社が適切な保守点検をしているのか組合員が知らないという事態は、起こりづらいのです。
分譲マンションでは、建物の規模や設置されている設備などが大きく異なります。
そのため、管理会社が実際に行う業務内容は、物件ごとに大きく異なりますし、組合員が支払う管理費や修繕費の金額によっても業務内容は大きく変わります。
③管理会社変更のきっかけとなる事情4選
管理会社を変更するにはいろいろと面倒が伴うもの。
実際に管理会社の変更に至ったケースにおいては、いくつかのきっかけとなった出来事が見られます。
⒈管理費の問題
どうも管理費が高いのではないか?
ほかの管理会社に変更した方が管理費が安く済むのではないか?
マンションの維持費はマンション経営のうえでも大きな負担になりますし、巡り巡って住民の負担に跳ね返ってきます。
⒉見積りが不透明
こうした管理費の高さには見積もりの不透明さが見られることがままあります。
修繕費などの理由で請求してくる管理費の内訳がよくわからない、どうして請求してくる金額が必要なのか説明が十分ではない、その状態をしばらく続けていたものの、これ以上看過できない状況になったところで変更に踏み切る…というパターンです。
このケースでは大規模な修繕や空室の増加など経営上の負担が増加する時期に対策として管理費の削減を目的に管理会社の見直し、変更が行われるパターンが多く見られます。
⒊管理がずさん
管理会社による管理そのものがずさんで仕事がまったくできていないケースです。
不備が多く、住民の要望にも答えられず、不満の声に対しても対応らしい対応をまったくしない、常駐している管理人が仕事をしないので管理会社に変更を申し出ても同じように仕事をしない人が来る、あるいはいろいろと言い訳をして変更をしてくれないといったケースが挙げられます。
こうした状況によって、積もり積もった不満が最終的に爆発するような形で管理会社の変更が行われるパターンが多いようです。
⒋事件や行政処分
判断が分かれるのが管理会社が事件を起こしたり、行政処分を下されたりしたケースです。
先述したような不透明な見積もりの設定などで管理費を着服しているなどの問題が露呈して、業務停止命令を受けるというケースも見られます。
自分たちが被害を受けたわけではないにしろ、「このような会社にマンションを管理させて大丈夫なのか」と不安に思うのは当然と言えるでしょう。
管理がずさんなケースとも似ていますが、緊急事態時にしっかりとした対応をしてくれなかったために管理会社を変更するケースも見られます。
漏水や停電など危険性が少ない緊急事態のときにしっかり対応しなかったのを理由に管理会社の見直し、変更をするパターンが見られます。
④管理会社変更のメリット5選とは?
マンション管理会社を変更することは、さまざまなメリットがあります。
多くの場合には、サービス内容が改善されたとか、メンテナンスなどの業務の品質がアップしたなどのメリットがありますが、それだけではありません。
管理会社を変更することによって、組合員が積み立てる管理費や修繕費の赤字会計が改善した成功例もたくさんあります。
管理会社の変更手続きを専門業者に代行してもらうこともできます。
ノウハウや実績を持つ専門業者なら、組合員のリクエストや希望を取り入れながら、満足度が高いマンション管理会社探しができるでしょう。
⒈管理費の削減
これは先ほどの変更理由と密接に関わってきますが、最大のメリットはやはり管理費を削減できることでしょう。
実際変更に踏み切ったかなりのケースで管理・委託費の削減が実現していると言います。
これは管理費・修繕費の高さに不満を感じて管理会社を変更するケースが多いことを示していると同時に、そもそも管理会社をどのようにして決めたのかという問題ともかかわってきます。
分譲マンションの場合、あらかじめデベロッパーと関係のある会社が管理会社として決まっていることが多く、通常の相場よりも管理費が高く設定されているケースが多いのです。
しばらくはその管理費になんの疑問も感じずにいたのが「ちょっと高いのではないか」と不満に感じて変更した結果思った以上に削減できた…というパターンも多いのです。
⒉費用の精査
それからこれも変更理由の部分で触れましたが、しっかりした管理会社に変更することで管理費・修繕費などの内訳をしっかり把握することができます。
どの部分にどれだけのお金がかかっているのか、今回の修繕費は具体的にどの部分に当てるのかといった内訳を詳細に書類の形で提示してくれれば支払う管理費・修繕費が妥当なものだと納得することができます。
これがないと「本当に適切な形でお金を使っているのか」と疑心暗鬼になり、信頼関係が損なわれてしまうのです。
⒊重要事項説明
同じようなメリットに業務の内容・仕様がしっかり書類に記載され、説明したうえで契約を結べる点も挙げられるでしょう。
例えば常駐の管理人の勤務時間はいつからいつまでなのか、休日はいつなのか、エレベータ補修や各種設備の点検はどれぐらいの頻度で行うのか、定期清掃はいつ行うのかなどです。
こうした日常的な管理の内容を書類の形で把握しておくことその管理会社・管理員がしっかり仕事をしているか把握することができます。
仕事をしていないなら不満や要望を申し立てる根拠になり、さらには再度管理会社を変更する有力な理由にすることもできます。
⒋確実な管理
あとはもっとも大事な部分ですが、しっかり管理してくれるようになります。
以前の管理会社の管理がずさんで変更した場合にはとくにこの点にメリットを感じることが多くなるでしょう。
先述した管理内容の仕様ともつながってきますが、変更をきっかけに「管理会社ってこんなにたくさんのことをしてくれるんだ」「前の管理会社はまったく仕事をしていなかったんだな」と痛感することもあります。
またしっかりしている管理会社は管理費や経費に関する要望にも柔軟に対応してくれます。
管理費をもう少し高くしてもいいから保守をしっかりやってほしい、逆に管理の質を下げてもいいから安くしてくれないか、などです。
より収支のバランスがとれた管理環境に対応・提案してくれる会社もあります。
こうしたところに変更することができれば、より負担が少なく理想的な管理環境を得ることもできるでしょう。
⑤管理会社変更のデメリット4選
⒈変更際のトラブル
まず変更の際にいろいろなトラブルが生じてしまう点が挙げられます。
関係者全員の意見が一致したうえで変更に踏み切るならよいですが、意見がまとまらず多数決や一部の人たちの決定だけで変更することにした場合、わだかまりを残してしまう恐れがあります。
また解約から新しい管理会社との交渉、契約など面倒な手続きを経なければならない点もデメリットとして無視できないでしょう。
⒉引継ぎ
管理会社を変更するうえではこれまでの管理体制を原則として受け継ぎつつよりよい管理を行ってくれる会社に変更することができるかが最大のテーマになってきます。
そうなると引き継ぎをしっかり行っておかないとなじまない、望まない管理体制になってしまうことになりかねません。
新しい管理会社のサービスの質は高いにも関わらずその内容がなじまないのでしっくりこない、という可能性も出てくるわけです。
基本的に引き継ぎは管理会社同士が行うものですが、前の管理会社の仕事に不満を感じて変更した場合、その引き継ぎを前の管理会社がしっかり行うか不透明な面もあります。
あらかじめこの引き継ぎがしっかり行われているかどうかもチェックしておきましょう。
⒊不安が付き纏う
そしてこれはデメリットと言えるのかどうか微妙なところですが、管理会社を変更することによる不安がつきまとうこともあります。
新しい管理会社はこちらの期待通りの仕事をしてくれるか、こちらの要望に柔軟に対応してくれるか、前の管理会社に不満を感じて変更した場合には「また同じことの繰り返しになりはしないか?」という不安がどうしてもつきまとうものです。
そして新しい管理会社が本当に信頼できるかどうかを確認できるまでにはそれなりの時間、数ヶ月程度は様子を見て契約上の仕事をしっかりこなしてくれるかを見届けるまでかかります。
その間はどうしても不安がつきまとうことになるでしょう。
まして緊急事態時に対応に不満を感じて変更した場合、次の管理会社がしっかり対応してくれるかどうかは実際に緊急事態が起こってみないとわからないわけですから、なかなかもどかしい状態が当面の間続くことになります。
⒋サービス品質の低下
もうひとつ、これはデメリットというよりも失敗談ですが、管理費の高さに不満を感じて安い管理会社に変更した結果サービスの質が低くて失敗する、というパターンも見られます。
マンション管理は長期的な視点で取り組んでいくべきものですから、「安かろう悪かろう」ではすみません。
安さにつられて別の会社に変更した結果不満だらけの状態になってしまう恐れも出てくるわけです。
⑥マンション管理会社変更の手順とは?
マンション管理会社は、マンション管理組合が業務を委託している法人です。
頻繁に管理会社を変更することは一般的ではありませんが、管理会社に問題点がある場合には、いくつかの手順を踏んだ上で管理会社のリプレイスができます。
手順⒈問題点のリストアップ
フロントやメンテナンスの対応が遅いとか、管理会社を変更したいと考えるきっかけには、いろいろなものがあります。
そうした不満を抱えているのは、もしかしたら自分だけではないかもしれません。
まずはマンション管理組合員全員に対してアンケートを実施して、管理会社に対する不満やクレーム、問題点を整理する作業から始めます。
手順⒉別の管理会社の選定
複数社から見積もりを取り寄せることになりますが、契約解除するマンション管理会社へは依頼できないので、組合員たちが独自に管理会社探しを行うことになります。
見積もりや業務内容を比較するという点では、3社から5社ぐらいの見積もりを取るのが一般的です。
見積もりの際には、管理会社候補が現地調査を行うことが多く、その際には組合員は立ち合いも行います。
手順⒊管理会社候補のプレゼンテーション
プレゼンテーションはマンション管理会社候補が行います。
その際には、組合員の理事会だけでなく組合員全員がプレゼンを見ることによって、どの管理会社が良いかを絞りやすくなります。
そして最終的に総会を開催し、マンション管理組合員全員から投票を行います。
集計は全員一致の必要はなく、多数決によって決定します。
手順⒋契約作業
新しいマンション管理会社と管理契約するという作業と、現行管理会社との契約を解除する作業の2つがあります。
契約解除に関しては、一般的には3か月程度の猶予を持って解約通告すれば問題はありません。
管理会社との新規契約については、国土交通省が公表しているマンション標準管理規約契約書を元にして、専門家や組合員同士の話し合いによって、具体的な内容を盛り込んでいきます。
手順⒌引継ぎ
そして最終的に、管理会社同士の引継ぎを行います。
基本的には組合員が関与しなくても管理会社同士で引き継ぎを行いますが、引き継ぎの漏れがないように、具体的に何を引き継いだのかという点を両社から報告してもらうと良いでしょう。
⑦まとめ
タワーマンションに限らず、管理会社より管理組合の方が強いマンションを多く見てきました。
上述したようにマンションの管理会社はデベロッパーによってあらかじめ決められているケースがよく見られます。
そのため管理会社の変更は決して珍しい状況ではなく、しばしば起こりうる事態と言えるでしょう。
その際には何が原因で変更することになったのかをしっかり把握し、それを改善できる会社を選ぶことがデメリットを避けてメリットを得るためのポイントです。
管理内容に不満を感じていたのに料金の安さにつられて選んでしまった、サービスの質の向上を目指したのに費用や仕事内容の内訳の説明が曖昧なところを選んでしまった、といったことがないようにしたいものです。
皆様が所有しているタワーマンションの資産価値を高めていくための一助となれば幸いです。
この度も最後までお読みいただきまして有難うございました。
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