実は、タワーマンションなら必ずしも高い遮音レベルが備わっているとは限りません。
もしかしたら壁や床の厚みが十分ではない場合があります。
毎日、騒音に悩まされる日々だなんて想像しただけでも嫌ではないですか?
今回はタワーマンションを買う際に、どこの数値を事前に押さえておけば失敗せずに済むのかをテーマにお届けいたします。
タワーマンションの購入を検討している方は特に必読してくださいね。
不動産仲介の方はタワーマンションの説明の引き出しとしてチェックしてみるとお得ですよ。
⒈音はどこから侵入してくるの?
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参考:吉野石膏「遮音設計(D値とTLD値の関係)」を基に、カナタワ事務局が作成
①配管(PS・パイプスペース)からの音
バスルームやトイレやキッチンの流水音がうるさいこともありますよね。
この場合は、配管に防音材が十分に巻かれていないことがありますね。
薄いウレタンを巻いているとか、配管と躯体の接触部に十分な緩衝処理がなされていないと、振動音がうるさいと感じます。
②壁や床からの音
両隣や上階・階下であれば、マンションの躯体である壁や床を通り抜けてきます。
普通、タワーマンションともなれば、世帯を区分けする壁や床スラブには十分な厚みを持たせてあり、更に石膏ボードやウレタン系の緩衝材(防音・防振)を挟めて、さらに木板などの壁材・床材を張って仕上げています。
そこで、壁や床が薄いと音の伝わりが良くなってしまいますし、緩衝材の質や量によっても同様です。
この点を内見などで確認するべきですね。
③窓・ドア、隣の部屋からの音
バルコニーの窓を通って、音が入り込んでくることもあります。
高層階になればなる程、時より強い風が窓にアタックするとの大きな音が出ることもありますよね。
サッシの構造が貧弱だと遮音性も低くなりますし、ガラスの厚みによっても変わります。
玄関ドアも同様に、音の侵入経路、壁を伝ってくる隣のお部屋からの音も然りですね。
密閉性だけでなく、音や振動の伝わり方もチェック項目となります。
音漏れを見極めるポイントをお伝えする前に、デシベル(dB)のことが理解できるとわかり易いので先に発信いたします。
⒉dB(デシベル)とは?
ちなみに、図書館のように静かな場所で小声でささやく場合の音量は30dB前後ですね。
また、掃除機をかけるときの騒音は70dB前後で、一般的に人がうるさいと感じるのは90dBを超えるとされています。
ですから、部屋の中で静かにしている状態で、隣のお宅から漏れてくる音がかすかに聞こえてくる程度であれば、不快にならないレベルと言えるでしょう。
なお、夜間のシーンとした状況で、かすかにささやき声が聞こえてくるといった感じでも、安眠妨害の心配はありませんね。
タワーマンションの場合は、階数によって騒音レベルが異なりますので、上の表に下図を加味して、騒音問題に悩まされないようにしていきましょう。
高さが8mの騒音レベルで約0dB、高さ40mの13階の騒音レベルが約6dB、高さ80mの27階部分が約9dB、高さ120mの40階部分がで約10dBの騒音量が加わります。
⒊音漏れを見極めるチェックポイント全6選
①遮音性能TLD(ティーエルディー)とは?
TLD-55以上を目安としましょう
マンションなどの遮音性能を表す数値には、TLD(透過損失レベル値)と言って、壁や床で仕切られた空間に、どのレベルの音が漏れこんでくるのかを数値化したものですね。
実験室測定値をTLD(ティーエルディー)、現場測定値をD値(ディーち)と言います。
たとえば、壁を挟んだ隣の部屋でステレオを大音量で聞いているとしましょう。
その部屋にいると、隣同士の会話にも邪魔になる騒音量だとします。
そこで、壁を挟んだ隣の部屋の静けさを測ります。
居住性を考えれば、この音の漏れ具合が低ければ低いほど良いということで、TLD値が高いほど室内の静寂性が高いことになります。
D値は45以上を目安としましょう
なぜ?D-45なのかを説明すると、TLD-55相当の壁を採用した際、水回りの配管や外壁やスラブから回り込む音、受音する部屋が洋室で吸音力が小さい等を考慮すると騒音の低減値の合計が10dBになるためです。
従って、タワーマンションのスペック表に遮音効率・TLDの数値が55と表示されていれば、マイナス10dBでD値45という理屈になります。
TLD値にD-55とあれば、隣のお宅で80dBの騒音を出しても、聞こえてくるのはマイナス55dBの25dB程度です。
まぁ音への感受性も十人十色ですが、80dBは掃除機ががなり立てる騒音で、それがささやき声以下に響いてくるのであれば、たとえ夜間でも気にならないのではないでしょうか。
ただし、非常に元気なお子さんがいるお宅や、ロックバンドや重低音の激しいヒップホップなどにハマっている若者やその親御さんが壁の向こうで大音量を出しているなら、話は別です。
ちなみに、一流のホテルでは、D値目標を50に設定しているところが多いのですが、この場合のTLDの値は、60以上の遮音システムという理屈になります。
②戸堺壁の厚みは?
乾式壁136㎜超がお勧め
タワーマンションは、高層階になればなる程、軽量に設計する必要があります。
従って、お隣さんとの間の戸境はコンクリート湿式壁ではなく、乾式遮音壁といって、コンクリートの代わりに鉄骨などの金属製資材を組み、グラスウールなどの吸音材を中に仕込み、硬い石膏ボードで挟むという方法を用いります。
136㎜の厚みの乾式壁を採用していれば理論上は、コンクリート壁200㎜相当の遮音効果があると言われているので、音に悩まされることは少ないと考えられます。
しかし、乾式壁の厚みが遮音の全てではないため、こちらもこちらで断言のできない部分なんですよね。
また、厚み136㎜の乾式壁のタワーマンションが圧倒的に多いものなのですが、それ以上の厚みの乾式壁を採用しているタワーマンションもございます。
従って、欲を言えば136㎜超の厚みの乾式壁のタワーマンションの方が、欲を言えばですが、遮音と言う意味ではお勧めということになりますね。
③二重床・二重天井は?
二重床・二重天井は音漏れし易い?
マンション生活でもっとも気になるのが、上の階からの振動と階下からの騒音ですね。
上の住居の生活音は、とくに振動音となって、天井から響いてきます。
『ガタン』とか『ドスン』といった音が室内に鳴り響いてくるわけです。
また、階下から聞こえてくるのは音そのもので、掃除機や子供のはしゃぎ声などが聞こえてきますよね。
実は、二重床・二重天井は、リフォームや配管や配線のメンテナンス等にはとてもメリットがあるのですが、合板等とスラブとの空洞から音を反響させてしまうとの特徴があります。
【一般的な二重床・二重天井・コンクリートスラブ概念図】
直床の方が音に強いの?
住宅の品質確保に関する法律「品確法(住宅品質確保促進法)」にもとづく住宅性能表示による評価基準では、二重床よりも直床の方が遮音効果があるとされています。
例えばスラブ厚200㎜で二重床を採用した場合は、スラブ厚約140㎜~149㎜の直床を採用した場合と同等の低評価(4段階中最下位)のD評価となります。
因みにスラブ厚200㎜で直床を採用した場合の評価はB評価(Bの評価の中でも下)とされているため、二重床よりも直床の方が、遮音性が高いということになります。
それでは、このあたりでコンクリートスラブについて、少し触れて参りましょう。
④スラブ厚は?
スラブ厚だけが遮音性の決め手ではない
床が直床なのか?
二重床なのか?
小梁付きのスラブなのか?
ボイドスラブなのか?
二重床のゴム脚の硬度は何度なのか?
制振シートの面密度は㎡あたり何kgなのか?
他他
コンクリートのスラブ厚が200㎜だから良い悪い、300㎜だから良い悪いとは、こちらもこちらで一概に言えないものです。
最近では、躯体の軽量化にボイドスラブ材が利用されるケースも増えていて、しかも遮音材を充填したスラブにしているところもありますからね。
従って、スラブ厚だけが遮音性の決め手ではないことも知っておいてくださいね。
基本的に、コンクリートは遮音性が高く、振動音もそれほど通すものではないんですけどね。
しかし、大まかな目安としては、遮音性能は小梁ありの直床のスラブの場合で200mm以上のものを、軽量の、ボイドスラブで270mm以上のものを選ぶと良いでしょう。
梁間のスパン・スラブ面積が違っても遮音性が変わりますし、スラブの種類でも変わってきてしまうので、こちらも一概には言えないものなのですが・・・。
いくら理屈を言っても、音への感受性も人それぞれですから、居住中のタワマンを内見する際には、売主の方にお願いして、実際の遮音性を現場で確認するくらいの周到さで臨まれた方が良いかもしれませんよ。
なお、建築基準法では、80㎜以上のスラブ厚が定められていて、ちゃんとした造りのマンションであれば、床スラブの厚さは200mmもあれば十分だとされています。
⑤床材の厚みは?
LL-45以上の等級を目安としましょう
そしてもう一点、タワーマンションのチェックポイントとして軽量床衝撃音遮断性能(LL)を確認する必要があります。
LLのL値とはJIS(日本工業規格)にもとづく性能度で、各床材の遮音性能を表します。
上図の通り、この数値が小さいほど性能が高いとされています。
日本防音床材工業会(JAFMA)では、LL-45以下を快適生活に望ましいレベルだと推奨しています。
ちなみにLL-45は1級床材とされ、建築学会が推奨するレベルとなっています。
LL-40は特級で、特に高い性能を持つ床材になります。
タワーマンションであるならば、やはりLL-45以下のものを、できればLL-40を選ぶのが良いかもしれませんね。
⑥サッシ厚は?
T-3等級以上を目安としましょう
日本産業規格(JIS)では、サッシの等級をT-1~T-4に決めています。
上の表の通り、T-3等級は約35dBの音を遮る性能を有しており、飛行場周辺の音量レベル90dBであっても、理論上は55dBまで音を下げることができます。
⒋まとめ
横浜市内のタワーマンションでの生活もどこか優雅で落ち着いたものでありたいですよね。
外装や内装の豪華さはもちろん、光に満ちた清潔感あふれる室内環境、何よりも静寂な住空間であってほしいものです。
しかし、適切な防音材が使われていない場合もありますから、当記事により、正しいタワーマンションの購入目安が理解できたのではないでしょうか。
5年に1度公表される直近の国土交通省マンション総合調査結果によると、以下のグラフの通り、音の問題がトラブルを招く事例が非常に多いことが理解できます。
トラブルだなんて面倒なだけですからね。
問題が発生するとのリスクを当記事にて少しでも少しでも削ぎ落していただければと存じます。
この度も最後までお読みいただきまして誠に有難うございました。
あなた様のタワーライフがより快適なものになる事を願っております。
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